工房ブログ

冬至、乃東生ず|工房便り

2016.12.25

工房の伊東です。

年の瀬も年の瀬、冬至、乃東生ず(なつかれくさしょうず)。千両、万両も赤い実をほころばせるころ、今年も色々ありました。南は沖縄から北は北海道まで、未だ解決を見ない問いは続きますし、世界もどこへ転がりゆくのやら、不穏な空気は晴れません。
とはいえ市井の暮らしは続くわけでして、日々の工房作業を黙々と・・・。

そんな今年最後の大仕事のご紹介、唐木座卓のリメイク依頼です。

お母様の形見としての座卓をそのままでは使いづらい上に、何よりもリビングに合わないので、ご自宅で使用されている堀りゴタツのテーブルとしてリメイクしてお使いになりたいとのこと。
リメイク案は仲介のコーディネーターの案を基に進めていきまして、唐木座卓の天板サイズを変更、それに伴う既存の四方框は使用できなくなるので、新材にて交換するものの、天の鏡板と脚は既存材を部材として使用、脚の三方留め跡を利用する、といったものです。着色仕上げにしないので特に仕事跡の逃げがきかない作業になります。とりわけ三方留めの処理はかなりの緊張度合です。

お預かりしたのはこちらの座卓。

脚はこんな具合に三方留めでついています。

天板を外してみると、、、この跡を活かしたいとのご希望です。

外した全景

外した天板の裏。鏡板の裏に3本、巾木(はばき)が渡してあります。

三方留めの天板部の仕口跡。ニカワがべっとり残っています。

脚同士を繋いでいた貫は必要ないので一本ずつにして、

更に脚全体に施された化粧の面取りはなくしてスッキリしたラインが欲しいとのことでしたので切り落とします。
脚部は一旦完了。

と、ここで問題発生。
框(かまち)から板を外すと板両端が大きく反り上がる事態に・・・。あまりひどい反り上がり様に動転して写真はありませんが、イチかバチかの反り直しをかけ放置。

無事に対処できたので板のはぎ直し、サネを入れ、

溝を入れ、

何とか使える状態になりました。一安心です。

ここからは天板の処置に時間を取られたことで納期に追われ始めることになったので、写真をろくに撮れなくなりますので、一気に進んでいきます。

交換材のウォルナットです。
いろいろ考えましたが、最終的にこちらの材となりました。

框、長手の加工

框の妻手の加工

当初大留になる予定でしたが、三方留めになることを考えると留めはきちっと取りたかったのでこんな具合に。

そして、ここからが佳境に入ってくる作業なのですが、すでに写真撮りの余裕はなく、仮組をし、目地を取り、組み調整、板の溝加工、面縁加工、巾木の加工、天框組上げ、三方留め仕上げ加工、脚元の面取り残りをテーパーに取る、脚取付、天框木端面、脚のテーパーに合わせ面取り、等々をひたすらにこなしていきまして、一気に完成型!。

天框はこんな具合に納まり、

天と脚はこんな具合に三方留め、

緊張ものでしたが無事クリア。そして脚の2面をテーパー取り、残っていた面取り跡を消しました。

そして塗装前から木固め塗装にて終了。
濡れ色の仕上がりです。

納品も無事完了。
お客様にも喜びの声を頂けました。

あまりないリメイク作業にサイズの大きさもあり、今年最後にして大仕事となりました。
仕上げも終わってしまえば、苦労もどこへやら。当初不安だった2種の木材使用によるツートンも三方留めが結果アクセントとして効き、成り行きの脚のテーパーもどこか浮遊感を漂わせる雰囲気となり、大きいながらも軽やかな印象の座卓になったかと思います。

今年最後に学ぶことの多い仕事が出来ました。
来年も実りある年でありますように。

修理部 伊東

12月及び年末年始の営業予定

2016.12.4

今月のお休みは12/7(水)、12/26(月)、また年末年始は12/28(水)から1/6(金)までお休みとさせて頂きます。

なおオンラインショップにつきましてもご注文・お問い合わせへの対応は1月7日(土)からとさせて頂きますので何卒ご了承下さい。

修理依頼の事~Part5~(納品編)

2016.5.28

連日様々に御紹介してきた修理。
修理依頼の事~Part1~(掃除編)
修理依頼の事~Part2~(格子戸・木工&塗装編)
修理依頼の事~Part3~(長持・木工編)
修理依頼の事~Part4~(木工修理・塗装編)

本日は納品編!!そして最終章。

格子戸の方は、出来上がり次第一足先に送り出し。
手のかかった家具達をトラックへ積み込みいざ納品へ。

前もって納品されていた格子戸は階段横の壁面にはめ込まれていました。


飛び出したままの横桟がかえって良い表情になっている気がします。
潜り戸のカラカラ具合もお客様にも喜んで頂けているようです

観音戸衣装は恐ろしい程にぴったりと

ロフトへ通じる階段の下へ。


この箪笥が収められる様設計されたとはいえ、納める時は冷汗ものでした。

そして長持もその為に作られたスペースへ



一見長持が上のガラス展示に喰われておりますが・・・それはつたない写真のせいで。。
実際は長持あってこその雰囲気。長持の上をこのような風にとイメージされた事に恐れいりました。

三丁抽はそっと和室へと

ただしこの和室は大きな窓から

富士山に夜は月が望めるそうで、眺望の良い畳の部屋には主張しすぎないこの箪笥が似合っていました。

設計段階から、それぞれ置き場所を考えられていただけに、あるべき場所にある様に納まり、その納まり具合は爽快でした。
お客様も仕上がりには大変よろこばれ、満足を頂けこちらも有難くうれしい納品となりました。

さて・・・・
実は、Part1御紹介した中に丸テーブルがあったのですが・・・・。
仕上がり後や納品時の写真がすっかり抜け落ちてしまいまして・・・・。ある意味一番よみがえった修理品なのですが・・・・・。
それは御客様のみぞ知る。ということで。

工房:伊東

修理依頼の事~Part4~(木工修理・塗装編)

2016.5.27

昨日は長持の修理を御紹介させて頂きました。(修理依頼の事~Part3~(長持・木工編))

本日は観音衣装の修理から御紹介。
こちらも総桐でして。。案の定・・・・・。






なかなかの具合な傷み。。。

天板を接ぎ直し、側板ももちろん対処し

抽斗前板も細かく接ぎ直し。

ただ接ぎ直している様ですが、取っ手の位置は変わらないよう接ぎ直すのでけっこう手間をかけています。
抽斗内部も

奥詰、組直し、先板の交換、底板はりかえ、などなど目白押しですが割愛、省略。。。

しれっと金具も手直し


その結果の姿が






まあ、盛大につぎ直しました。いかにも手を掛けた感満載です。
そしていつも思うのは・・・・新しく作った方が早くない?・・・という事。。。

三丁抽の方も

こんな調子に


大分説明を割愛させて頂きまして・・・・完了

そうした長持、観音衣装が塗りあがりますと・・・・



何という事でしょう。木工の苦労感を全く感じさせない仕上がり。素晴らしです!!
ただ、必死に出した自己ベストがあっさりと塗りかえられたような・・・妙な脱力感におそわれたの何故でしょう。。そして古材を使う意味って・・・
さておき、
ご要望通り2点の色味も揃いました。

黒く塗れば揃うだろう思えますが・・・・。実は赤黒い色味な上、ベースの色に違いがある中で合わせるのはなかなかどうしてな訳です・・・。
そして三丁抽も

塗りあがり完了。

いざ納品へ!!!

ですが、今日の御紹介はここまで。
納品のお話はまた後日に。

工房:伊東

修理依頼の事~Part3~(長持・木工編)

2016.5.26

今回は前回(修理依頼の事~Part2~(格子戸・木工&塗装編))に引き続き長持修理の御紹介。

総桐でして・・・・桐材の宿命と言うのか、桐材を使用した古い家具類はたいがい板の接ぎ目に虫喰いが出て接ぎ目が切れてしまい、尚且つ、接ぎ目部は凄い虫喰い跡が・・・。その部位を切り落とし、接ぎ直す必要が出てきます。
桐材のモノは加工こそ容易ですが、この接ぎ直し作業にしこたま時間が取られてしまうモノでもあるのです。
更に桐の古材となると厚み、風合い、長さの点でそれ程のストックもなく・・・使える材は最大限に使わざるをえず、どうしてもより細かい接ぎ直し作業が必要になります。

今回の修理依頼の内の総桐家具達に、ものの見事にそれにずっぽりはまったわけです。。

あらためて、長持修理を。
先ずは蓋部天板接ぎ直し。あまりに長尺なので古材の持ち合わせがなく新材を使用。
しっかり合釘入りにて

接ぎ直して

貼り直し

ちなみに天板は少し山なりカマボコ形状です。
蓋部他にもやっている事はありますが・・・割愛、省略。

身の方へ。





いやいや実に色々傷んでますので・・・・・・
ばらします。接ぎ直します。

組み立てます。


欠損した金具を作ります。

焼き付けて・・・・

取付ます。


そして御客様ご要望の内箱

がこの中に

すっぽりと


まるで開化堂の茶筒の様に「つつつ」と納めまして、蓋を取り付け

閉めて

木部修理は終了。

塗装やその他家具の修理の御紹介はまた後日に。

工房:伊東

修理依頼の事~Part2~(格子戸・木工&塗装編)

2016.5.25

昨日は掃除編を御紹介させて頂きました「修理依頼の事~Part1~(掃除編)」

さて、ここからは木工作業に移ります。
細かい作業も追うとキリもない上、写真自体もそれ程に取り揃える余裕もなかったので大雑把な感じですが・・・。

先ずは格子戸。
メインは潜り戸の開閉が現状困難な所を使用できる様にすること。
そんなわけで、すり減った戸溝を再生し、戸の鉄製車輪が乗る箇所にフラットバーを取付。
そのフラットバーを漆で焼き付ける事に妙にこだわり、地味に右手がかぶれその他にも諸々と作業はありましたが割愛。写真無し・・・。
そうした戸溝辺りの仕事の結果が



何故か裏からの写真のみで・・・・。

塗りあがりますと。


この色味も御客様の要望をくみつつ、一見単調に見えますがのっぺりとしない様に気を使って上げています。
この潜り戸は開閉の度に鉄の車輪がフラットバーを転がり小気味よくカラカラ言わすのが趣よい具合となりました。

次の修理の御紹介!!と行きたいところですが、長文となってしまいますので本日はここまで。
それではまた後日に。

工房:伊東

修理依頼の事~Part 1~(掃除編)

2016.5.24

暦では小満の候。
まだ5月の半ばを過ぎた頃だと言うのに全国では真夏日を向かえてしまった所があちこちと。
工房ブログはご無沙汰しておりました。
ここ2ヶ月程、ひたすら修理依頼の品々に追われておりました。

御客様としては2組なのでしたが・・・。点数が多いのと手のかかる物とのコラボレーションで・・・。
まあ、思うようには事は進まず、ここに手を掛けた以上こちらまで・・・と思えば・・・ここもかい!!ってな感じで、気は急くものの作業ペースはなかなかに、夜な夜な粛々と進めておりました。
今は無事に作業を終え、ほっこりと余韻に浸りたいところ。

そんな修理依頼の内、一組の御客様の修理を御紹介。
御預かりした品は以下の5点で、全て御先祖様から引き継ぎで蔵に眠っていたものを別荘に建てられるのを期に修理をお考えに。

蔵にはまっていた井桁格子戸。


当初は処分されるつもりだった丸テーブル。


三丁抽の衣装箪笥。

幅1800程の大きな長持。


そして総桐の観音扉衣装箪笥

まずはいっせいに掃除。

格子戸の網は外して。


ごしごしと洗浄

生乾きの姿。

丸テーブル。

三丁抽

長持

観音衣装


埃が払われスッキリしたと同時に割れやら虫喰い跡やら傷みがはっきりしてきます。

掃除作業が終わり、ここから木工作業に移りますが・・・・・。
御紹介するにはえらく長くなってしまうので今日はここまでとさせていただきます。

木工作業編はまた後日に。

工房:伊東

修理依頼

2015.10.16

皆様、googleインドアビューはご覧頂けたでしょうか?
最近のインターネットの進化に驚いています。その場に行っていないのに、行った気分になれる。少し昔に流行った言葉・・・「NETサーフィン」・・・・。尚更楽しめてしまいそうです。
実際に足を運んで頂いた際は、倍以上楽しんで頂ける様に日々精進して行きたいと思っています!!

さて、今日は修理の御紹介を。
少し時間は遡り・・・・。
お盆の頃。T様からメールで水屋箪笥の修理の御依頼がありました。

「長く大事に使って来ましたが、キズや欠損があり修理を引き受けて頂けないでしょうか?」
と言う御依頼でした。本来であれば、拝見しに行き色々お話をさせて頂きながら修理を御検討頂くと言う流れになるのですが、遠方からの御問い合わせでしたので、可ナル舎にまずは送って頂くと言う流れに。

8月の終わり頃T様の水屋箪笥が可ナル舎へやって参りました。
キズや欠損があるものの、本当に大事に使われて来たんだなと拝見して感じました。
電話やメールで修理方法を相談させて頂きながら進めていきました。大事にされてきた風合いを損ねる事無く修理する事に一番気を使いながら・・・・。

仕上がり具合をメールで伝え、そしていよいよ水屋箪笥をT様のもとへ送り出す日が来ました。
無事に届くか、喜んで頂けるか・・・。修理が無事完了して送り出したとしてもいつもドキドキしてしまいます。

T様の御手元に水屋箪笥が着く日、無事に届いたかどうか確認の御電話を・・・・。
「無事に届きました。早速新居のキッチンに置きました。綺麗にして頂き有難うございます。」
と無事に届いた事、そして喜んで頂けた事が確認出来ホッとしました。

そしてT様から写真がメールで送られてきました。

素敵な場所に置かれていて何だか水屋も喜んでいるように見え、そしてT様との素敵な生活がなんだか垣間見へて自分も嬉しくなりました。
T様、この度は御依頼誠にありがとうございました。微力ながらもT様と水屋箪笥が楽しく生活できるようにこれからも御協力させて頂きたく思います。

WATANABE
※オンラインショップの更新は明日となります。楽しみにして頂いてる皆様、もう暫くお待ち下さいませ。

使う楽しさ甦らせます。~火鉢銅壷修理~

2015.1.29

1月も今日を含めばあと3日。
2月に入ると節分があります。

一説によると、鬼を退治したのは「ワタナベ」と言う人らしく、「ワタナベ」と言う性の人は節分に豆をまかなくてよいそうです。
このブログを書いている私も「ワタナベ」という性ですので、節分がやって来ると少しだけヒーロー気取りです。。

おっと・・・。話しが反れそうなので戻します。

節分が終わると「立春」となります。
寒さのピークも底を付き、徐々に春めいた気温や天候に変っていきます。。
が、去年の大雪があったようにまだまだ寒さも続く季節。春が近づいてきたかと思えばとんでもない寒さに・・・。

今日は違った角度から「火鉢」を御紹介したいと思います。
銅壷がボロボロ。

張替える為、きれいに剥がします。

組が弱くなった部分を再度釘でとめます。

実物でサイズを取り

そして、切り出します。

切り出したパーツに線を付けます。

重なりあうところを曲げる目印です。
しっかり叩いて曲げて取付。

銅板は傷つきやすいので慎重に・・・。
そして完成です。

色も擦れてきているので塗直し。

生まれ変わりました。
御紹介した火鉢はオンライショップでも御紹介しております。>>こちら

今回は修理の角度から「火鉢」を御紹介させて頂きました。
火を入れたいけど銅壷がボロボロ。と困っていませんか?そんな時は可ナル舎に御声掛け下さい!!使う楽しさを甦らせるお手伝いさせて頂きます!!

門扉の卓~ローテーブルへリメイク~

2014.12.14

工房の伊東です。
久しぶりのブログと思えば
閉塞く冬と成る大雪の候でした。
コンビニのおでんに心さそわれる時期。

工房は恒例のSALEが可ナル舎一同の思う以上に大盛況となり
その後の売約品への対応や以前からの修理依頼、今年最後の平和島骨董祭の準備とパタパタしています。

本日はそんな大盛況だったSALEで売れました、門扉の卓の配達。
この卓はSALE時に工房の江藤が即興でガレージにあった味わいある門扉を天板に、これまた余っていたスタンド箪笥の鉄脚にのせ卓と見立てレイアウトした一品。

そこへ以前から修理のご依頼で縁のあったお客様がご来店。
いたく気に入られ、江藤の提案を交えた熱い接客にも心動かされた様で、ご購入頂きました。

そんな卓がこちら


ガラストップの下になっているのが門扉
一切の塗装はせず時代を経た雰囲気そのままの仕上げです。
ガラスを落とし込んでいる枠体も門扉の雰囲気に合う古材でそのままに塗装なしで組み上げてあります。
工程の画像が無いのが申し訳ないのですが。

更にこの天板門扉についていた丁番を生かしコレクションテーブルの一面も

そしてこだわりの足下。

当初、ただの鉄脚だけだったのですがどうも華奢だと、
胴巻きに板でもと始まり、ふと竹材もみつくろい、
それだけでは納まりが悪いと台輪まで製作した江藤渾身の仕事ぶり。

で、木工担当のはずの私はこちらの修理でお預かりした品の木工をひっそりと。

そんなこんなでお客様宅へ配達
この様な具合に納まりました。


お客様としばし歓談、「いいですね~」を連呼され、大変喜んで頂きました。
そして最後にはお客様と江藤でパチリと笑顔

そうそう、修理の小箪笥もしれっときれいに納まりました。

ともあれ、普段創作じみたことはあまりないので、
請け負った江藤も楽しく仕事が出来た様で
その上、一番こだわった足下の仕事ぶりにお客様が喜ばれていたのが
傍らで何よりも印象的だったわけです。