仙台箪笥修理/冬至、鹿角解つる候

ご無沙汰しております、工房の伊東です。
年の瀬も瀬、今年もいろいろありました。

工房はイベント終了後の修理ご依頼も重なり、年末も慌ただしい空気に包まれています。

さて、今回の修理ご依頼品は、こちら仙台箪笥です。

ご依頼下さったのは宮城県仙台市のご出身の若い方で、この箪笥も同じく仙台市の若林地区で100年程前に製作されたアンティークです。

お祖父様の懐かしいイメージとともに、ご依頼主様が子供の頃から愛着を抱いてこられた品とのことですが、当初は土蔵の中にしまわれ、その後長くご家庭で使われる中で、様々な金具の破損、塗装の全体的な劣化、更には鼠害によるものと思われる大きく開いた引出しの穴など、かなりのダメージが全体的に見られる状態でした。

それでは作業開始です。まずは引出しをすべて取り外し、箪笥の躯体内部、そして引出し内部に溜まった積年の汚れやほこりを丁寧に取り除いていきます。


あらためて全体を見てみましょう。右下の扉板の外れ、引出しにぽっかりと開いた二つの穴、すっかり枯れてしまった塗装など、パッと見ただけでもかなりの傷みが目につきます。

鼠害による穴。これは気になりますね。

金具にも多くのダメージが見られます。抜けて紛失した鉄釘。

扉を留める丁番の破損。

合目(あいめ)板と呼ばれる金具が紛失し、右側の十字状の金具も一部欠けています。

枠部分の他より色が黒く見える箇所には、もともと金具が取り付けられていました。


このような状態でしたが、逐一修理していった結果、以下のようになりました。

大きく開いていた穴は、違和感のないよう古材で接ぎました(補色前)。

欠けていた鉄金具のパーツもサイズ・形状の合ったものを取り付けました。

丁番が壊れていた扉。

更に出っ張っていた引出しの組み直しと奥詰め調整。そして引出しをロックするための「かんぬき」と呼ばれる棒状の木製パーツが紛失していた箇所には、工房のストックにあった同様のパーツを加工調整の上、取り付けました。

こちらは仕上げ前の様子。

その後、修理箇所の補色と全体の色味を調整し、経年の味わいを活かすようオイルで仕上げを行いました。




完了です。

これからも永く受け継がれる家具となってくれる事を願っております。

工房より、今年一年お世話になった皆様へ感謝をこめて、
どうぞ良いお年をお過ごし下さい。
(担当・伊東)