仙台箪笥修理と鏡台のリメイク

大暑、大雨時行の候、歳時記でいうところの大雨。ゲリラ豪雨のことも言うのでしょうか。
久しぶりのブログになります。作業場の伊東です。

工房、蒸してます。ここの所の湿度の高さにはまいります。
暑さは梅雨明け前の頃の気温に比べれば楽なのですが、このじっとり感、出ようとする汗が湿度に抑え込まれる様でイーッとします。そんな気分は扇風機にどうにか飛ばしてもらいつつの今日この頃です。

さて、このところ以前に増して修理のご依頼を多く頂くようになってきた中で、今回はアンティーク箪笥の修理と鏡台のリメイクの案件をご紹介したいと思います。

お預かりしたのは、ご依頼主様にゆかりがあるという宮城県仙台地方で作られたアンティークの和箪笥。抽斗(ひきだし)はどちらかというと米沢の衣裳箪笥に近い構成ですが、威風堂々たる金具類はいかにも仙台箪笥らしい趣を感じさせます。その昔、お母様が箪笥についた汚れを落とそうとマジックリンで洗ってしまった事があったそうで、そのせいか本来の漆の塗りがほとんど感じられない位にかさついた状態になっていました。

お預かりした当初の姿がこちら。


すっかりツヤが落ち、全体が色褪せくすんだ印象です。せっかくの金具もうっすらと錆びつき、鉄本来の力強い輝きはあまり感じられません。

ご依頼主様の一番のご要望として、やはり劣化の目立つ塗装の手直しがありました。そこで修理に取り掛かる前に府中の店に足を運んでいただき、沢山の箪笥在庫をご覧頂きながら修理後のイメージを共有するところから始めました。

そして出来上がった修理後の姿がこちら。


新たな塗装によってケヤキ本来の美しい杢目と上品なツヤがよみがえり、金具も活き活きと引き締まった印象を取り戻しました。
化ける、とはよく言いますが、無垢の上質な素材を使って作られた昔の家具は、経年変化の度合が大きいほど手を入れた時の化け方に驚かされます。


木工的な作業としては、背板の割れ直し、抽斗の割れ直しと奥詰め、片開き戸の調整を行いました。塗装修理に加えこうした不具合も丁寧に直す事で、アンティーク家具は「生きた暮らしの道具」としての役割を保ち続ける事ができます。

その後、無事納品も終えまして、


出来栄えに喜んで頂いたお客様とともに。

 

さて、次は、工房で手掛けたリメイクの案件をご紹介いたします。


お預かりしたのは、お客様がご結婚された際にお嫁入り道具としてお母様から頂いたというこちらの鏡台。ご依頼主様はご多忙な日々を過ごされる中で、その鏡台の前にじっくりと座る機会もこれまでなかなかなかったそうです。
今回はその鏡台の鏡の部分を生かして収納性にも優れた姿見にリメイクできないかとのご相談でした。


まずは台座から鏡を取り外します。
下に見える白い配線は電源取りのためのコード。

完成後の姿がこちらです。


姿見としての機能を満たしつつ、使わない時にはすっきりと収納出来るように折り畳み式の脚を取り付けました。

もともと付いていた鏡裏の軸材を生かし、そこに新たに追加製作した脚部を取り付けてあります。塗装もオリジナルに合わせ、最初から折り畳み式の姿見だったと言われても分からない出来栄えに仕上がりました。

鏡台は2、30年程前の品で、当工房で多く扱ういわゆる骨董やアンティークではありませんが、こうした現代家具の修理やリメイクも可能な限りお応えしています。お考えのお品物がございましたらぜひ一度お気軽にご相談下さい。

最後に、こちらの鏡台のお客様、早速お姉様に写真を送ってあげよう、と大変喜ばれていました。今後も永くご愛用いただければと思います。
ありがとうございました。

修理部 伊東