冬至、乃東生ず|工房便り

工房の伊東です。

年の瀬も年の瀬、冬至、乃東生ず(なつかれくさしょうず)。千両、万両も赤い実をほころばせるころ、今年も色々ありました。南は沖縄から北は北海道まで、未だ解決を見ない問いは続きますし、世界もどこへ転がりゆくのやら、不穏な空気は晴れません。
とはいえ市井の暮らしは続くわけでして、日々の工房作業を黙々と・・・。

そんな今年最後の大仕事のご紹介、唐木座卓のリメイク依頼です。

お母様の形見としての座卓をそのままでは使いづらい上に、何よりもリビングに合わないので、ご自宅で使用されている堀りゴタツのテーブルとしてリメイクしてお使いになりたいとのこと。
リメイク案は仲介のコーディネーターの案を基に進めていきまして、唐木座卓の天板サイズを変更、それに伴う既存の四方框は使用できなくなるので、新材にて交換するものの、天の鏡板と脚は既存材を部材として使用、脚の三方留め跡を利用する、といったものです。着色仕上げにしないので特に仕事跡の逃げがきかない作業になります。とりわけ三方留めの処理はかなりの緊張度合です。

お預かりしたのはこちらの座卓。

脚はこんな具合に三方留めでついています。

天板を外してみると、、、この跡を活かしたいとのご希望です。

外した全景

外した天板の裏。鏡板の裏に3本、巾木(はばき)が渡してあります。

三方留めの天板部の仕口跡。ニカワがべっとり残っています。

脚同士を繋いでいた貫は必要ないので一本ずつにして、

更に脚全体に施された化粧の面取りはなくしてスッキリしたラインが欲しいとのことでしたので切り落とします。
脚部は一旦完了。

と、ここで問題発生。
框(かまち)から板を外すと板両端が大きく反り上がる事態に・・・。あまりひどい反り上がり様に動転して写真はありませんが、イチかバチかの反り直しをかけ放置。

無事に対処できたので板のはぎ直し、サネを入れ、

溝を入れ、

何とか使える状態になりました。一安心です。

ここからは天板の処置に時間を取られたことで納期に追われ始めることになったので、写真をろくに撮れなくなりますので、一気に進んでいきます。

交換材のウォルナットです。
いろいろ考えましたが、最終的にこちらの材となりました。

框、長手の加工

框の妻手の加工

当初大留になる予定でしたが、三方留めになることを考えると留めはきちっと取りたかったのでこんな具合に。

そして、ここからが佳境に入ってくる作業なのですが、すでに写真撮りの余裕はなく、仮組をし、目地を取り、組み調整、板の溝加工、面縁加工、巾木の加工、天框組上げ、三方留め仕上げ加工、脚元の面取り残りをテーパーに取る、脚取付、天框木端面、脚のテーパーに合わせ面取り、等々をひたすらにこなしていきまして、一気に完成型!。

天框はこんな具合に納まり、

天と脚はこんな具合に三方留め、

緊張ものでしたが無事クリア。そして脚の2面をテーパー取り、残っていた面取り跡を消しました。

そして塗装前から木固め塗装にて終了。
濡れ色の仕上がりです。

納品も無事完了。
お客様にも喜びの声を頂けました。

あまりないリメイク作業にサイズの大きさもあり、今年最後にして大仕事となりました。
仕上げも終わってしまえば、苦労もどこへやら。当初不安だった2種の木材使用によるツートンも三方留めが結果アクセントとして効き、成り行きの脚のテーパーもどこか浮遊感を漂わせる雰囲気となり、大きいながらも軽やかな印象の座卓になったかと思います。

今年最後に学ぶことの多い仕事が出来ました。
来年も実りある年でありますように。

修理部 伊東